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不動産を不動産会社に買ってもらうメリット・デメリットについて
カテゴリ:不動産売却について  / 更新日付:2026/05/16 10:29  / 投稿日付:2026/05/16 10:29

不動産を売却する方法には、大きく分けて「仲介」「買取(不動産会社に直接買ってもらう)」の2種類があります。

一般の買い手を探す「仲介」に比べ、不動産会社が自ら買主となる「買取」は、スピード感や確実性の面で非常に強力な選択肢となります。しかし、その反面で価格面などの大きなデメリットも存在します。

本稿では、不動産会社に直接買い取ってもらう方法(以下、不動産買取)のメリット・デメリット、どのような人に向いているのか、そして売却を成功させるためのポイントについて解説します。


1. 不動産買取の仕組みとは?(仲介との違い)

具体的なメリット・デメリットに入る前に、まずは「買取」の仕組みと、一般的な「仲介」との根本的な違いを整理しておきましょう。

【仲介の仕組み】
売主 ──(媒介契約)── 不動産会社 ──(広告・営業)──> 一般の買主(個人など)

【買取の仕組み】
売主 ────────────────(直接売買)────────────────> 不動産会社(買主)
  • 仲介(ちゅうかい): 不動産会社は「媒介(広告や購入希望者の探索)」を行い、一般の個人などの買主を探します。売買契約は「売主と一般の買主」の間で結ばれます。

  • 買取(かいとり): 不動産会社自身が「買主」となります。売主は不動産会社と直接売買契約を結びます。

不動産会社は買い取った物件をそのまま保有するわけではなく、リフォームやリノベーションを施したり、解体して更地にしたりして、価値を高めてから再販(転売)することで利益を得ます。このビジネスモデルの違いが、以下に解説するメリットとデメリットにそのまま直結しています。


2. 不動産会社に買ってもらう「メリット」

不動産会社に直接買い取ってもらう最大の魅力は、「現金化の早さ」「取引の確実性・手軽さ」にあります。具体的には、以下のような7つの大きなメリットがあります。

① スピーディに現金化できる(最短数日〜数週間)

仲介の場合、広告を出して買主を募集し、内覧を案内し、条件交渉を行うため、売り出しから現金化までに早くても3ヶ月、長いと1年以上かかることも珍しくありません。

一方、買取では不動産会社自身が購入資金を持っているため、査定価格に納得できれば数日から数週間程度で契約・決済(引き渡し)まで完了します。「まとまった現金が急に必要になった」「離婚や転勤で期限までに処分したい」という場合には、この上ないメリットです。

② 売れ残るリスクがゼロ(売却の確実性)

仲介における最大の不安要素は「いつ売れるか分からない(最悪の場合、ずっと売れない)」という点です。景気の動向や地域の需要、物件の条件によっては、いくら値下げしても買い手がつかないことがあります。

買取であれば、不動産会社が「買います」と提示した時点で売却が確定します。売却スケジュールが完全にコントロールできるため、買い替え(住み替え)の計画なども非常に立てやすくなります。

③ 仲介手数料がかからない

仲介で不動産を売却した場合、不動産会社に対して成功報酬として「仲介手数料」を支払う必要があります。法律で定められた上限額は以下の通りです。

{仲介手数料} = ({売買価格} × 3% + 6万円) + {消費税10%}

例えば、3,000万円で仲介売却できた場合、約105万円の仲介手数料が発生します。しかし、買取は不動産会社との「直接取引(売主と買主の関係)」になるため、仲介手数料は一切かかりません。 表面的に見える費用を大きく抑えることができます。

④ 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が免除される

仲介で一般の個人に売却する場合、引き渡し後に雨漏りやシロアリの被害、建物の傾きなどの隠れた欠陥(瑕疵)が見つかると、売主は期間内であれば修繕費用を負担したり、契約を解除されたりするリスク(契約不適合責任)を負います。

しかし、買主がプロである不動産会社の場合、契約書に「契約不適合責任は免除する」という特約を盛り込むのが一般的です。プロは欠陥があることを織り込み済みで(または調査の上で)買い取るため、売主は引き渡し後に一切の心理的・金銭的負担を引きずらずに済みます。

⑤ 内覧の対応や、大がかりな片付け・リフォームが不要

仲介では、購入希望者が現れるたびに家を綺麗に掃除し、スケジュールを合わせて「内覧(部屋の見学)」に対応しなければなりません。見ず知らずの人がプライベートな空間に何度も入ってくるのは、精神的にも大きな負担です。

買取の場合、不動産会社の担当者が査定のために1〜2回訪問するだけです。また、家具やゴミが残ったままの状態(現状渡し)や、雨漏りしているようなボロボロの状態でも、そのまま買い取ってくれます。売主が自費でリフォームしたり、片付け業者を呼んだりする必要はありません。

⑥ 近所に知られずに売却できる(プライバシーの保護)

仲介売却では、ネット上の不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME'Sなど)に写真付きで掲載されたり、近隣にチラシが配られたりします。そのため、周囲に「あの家、売りに出している」「経済的に困っているのかな」と知られてしまう可能性が高くなります。

買取であれば、広告活動を一切行わないため、近所の人に全く知られることなく完全に秘密裏に売却を完了させることができます。

⑦ 買主のローン特約による白紙解約がない

仲介で一般の買主と契約を結ぶ際、通常は「住宅ローン特約」がつきます。これは、買主が銀行のローン審査に落ちた場合、契約をペナルティなしで白紙に戻せるという約束です。これにより、せっかく決まった契約が直前でひっくり返るリスクがあります。

買主が不動産会社であれば、自己資金や事業者向けの確実な融資を利用するため、ローン審査落ちによる白紙解約のリスクは基本的にありません。


3. 不動産会社に買ってもらう「デメリット」

買取には多くの魅力的なメリットがある反面、「価格」に関する非常に大きなデメリットが存在します。ここを正しく理解しておかないと、後から激しく後悔することになりかねません。

① 売却価格が市場価格の「7割〜8割」程度に下がる

これが買取における最大の、そして人によっては致命的なデメリットです。

不動産会社は、買い取った物件にリフォームを施し、利益を上乗せして再販します。また、再販するまでの間の不動産維持費(固定資産税や管理費)、転売時の登録免許税、そして「もし売れ残ったら」という在庫リスクを抱えることになります。

これらのコストやリスク、利益を逆算して買取額を決めるため、どうしても一般市場で売れる価格(仲介の相場)の70%〜80%程度(物件の状態やエリアによっては50%〜60%になることも)になってしまいます。

【具体例での比較】

市場相場が「3,000万円」のマイホームの場合

  • 仲介: 3,000万円で売却(ここから仲介手数料 約105万円を引き、手残り約2,895万円

  • 買取: 相場の75%とすると 2,250万円で売却(仲介手数料は0円なので、手残り2,250万円

※このケースでは、手残りベースで約645万円も買取の方が安くなってしまいます。

② 買取を拒否される、または極端に安くなる物件もある

不動産会社は何でも買い取ってくれるわけではありません。彼らもボランティアではないため、「リフォームしても売れない土地」「需要が全くない過疎地や山林」「再建築不可(法律上、新しく建物を建て替えられない土地)」などの物件は、再販が不可能なため買取を拒否されることがあります。

もし買い取ってくれたとしても、処分費用などを差し引かれて「数十万円」など、二階建ての家であってもタダ同然の二の足を踏むような価格を提示されることがあります。

③ 価格の交渉余地が少ない

仲介であれば、「どうしてもこの金額で売りたい」という売主の希望価格をもとに広告を出し、じっくり待つことができます。運良くその価格で買ってくれる人が現れる可能性もゼロではありません。

しかし買取の場合、不動産会社は緻密な事業計画(いくらで仕入れて、いくらでリフォームし、いくらで売るか)に基づいて機械的に査定額を算出します。そのため、売主が「もう少し高くしてほしい」とネゴシエーションしても、数十万円程度の調整ならともかく、大幅な上乗せを引き出すことは極めて困難です。


4. 「仲介」と「買取」の徹底比較表

ここまで挙げた特徴を分かりやすく表にまとめました。どちらの方法が自分の状況に合っているか、客観的に比較してみてください。

項目仲介(一般市場での売却)買取(不動産会社が購入)
売却価格高い(市場相場の100%)低い(市場相場の70%〜80%程度)
現金化までの期間遅い(3ヶ月〜1年以上かかる)圧倒的に早い(最短数日〜数週間)
確実性低い(買主が現れるまで未定)極めて高い(提示額で即確定)
仲介手数料必要(売却価格の約3%+6万円)不要(0円)
契約不適合責任原則あり(引き渡し後もリスクあり)原則免除(売った後は一切責任なし)
室内の状態片付けやリフォームが必要な場合あり現状のままでOK(ゴミがあっても可)
周囲への認知広告等で周囲に知られやすい完全に秘密で取引可能
ローン解約リスクあり(買主の審査落ちによる白紙化)なし

5. 不動産買取を選ぶべき「向いている人」・選ぶべきでない「向いていない人」

メリット・デメリットのパワーバランスは、売主が置かれている「状況」によって180度変わります。

不動産買取が向いている人(選ぶべき人)

  • とにかく急ぎで現金が必要な人

    • 相続税の納税期限が迫っている、借金の返済がある、離婚による財産分与を急いでいるなど、タイムリミットがある場合。

  • 住み替え先が既に決まっている人

    • 新居の購入契約を済ませており、現在の家の売却資金を確実にその支払いに充てなければならない(ダブルローンを避けたい)場合。

  • 相続した実家が遠方にあり、処分に困っている人

    • 中がゴミ屋敷状態、あるいは荷物が山積みのまま。遠方のため何度も片付けに行けず、内覧対応も不可能な場合。

  • 建物が非常に古く、欠陥が心配な人

    • 築40年や50年が経過しており、雨漏りや耐震性に問題があるかもしれない物件。後から「直してくれ」と言われたくない場合。

  • 近所に「あの家、売りに出している」と噂されたくない人

    • プライバシーを最優先したい場合。

      不動産買取が向いていない人(選ぶべきでない人)

  • 1円でも高く売りたい人

    • 時間に余裕があり、少しでも多くの資産を手元に残したい場合は、絶対に「仲介」を選ぶべきです。

  • 人気エリアの築浅マンション・好条件の土地を売る人

    • 需要が高い物件は、仲介に出せば数日〜数週間で、しかも高値で満額購入希望者が現れる可能性が非常に高いです。あえて買取を選んで安く手放す必要はありません。

  • 住宅ローンの残高が残っている人

    • 不動産を売却する際は、ローンの残高を一括返済して「抵当権」を抹消しなければなりません。買取によって売却額が3割下がると、売却代金だけでローンを完済できず、自己資金(持ち出し)が発生してしまうリスクが高くなります。


6. 不動産買取で失敗しないための「重要ポイント」

もし、あなたが「デメリット(価格が下がる)を許容してでも、メリット(スピード・手軽さ)を取りたい」と考え、買取を選択する場合は、以下のポイントを必ず実践してください。ここを怠ると、ただでさえ低い買取額をさらに買い叩かれるリスクがあります。

① 必ず「複数の不動産会社」に査定を依頼する(相見積もり)

不動産会社によって、得意なエリアや物件種別(マンション専門、戸建て専門、再建築不可物件専門など)が異なります。また、その会社が「今、どれくらい在庫(売り物)を欲しているか」というタイミングによっても、提示してくる買取額に数百万円の差が出ることがあります。

必ず3社以上の会社に査定を依頼し、価格と対応を比較しましょう。

② 「買取保証付き仲介」という選択肢も検討する

「高く売りたいけれど、いつまでも売れないのは困る」というワガママな悩みを解決する「買取保証(買い取りほしょう)」というシステムがあります。 これは、「最初の3ヶ月間は『仲介』として市場で高く売りに出し、もしその期間内に売れなかった場合は、あらかじめ約束していた金額で不動産会社が『買取』を行う」というハイブリッドな契約方法です。

これを利用すれば、高値売却にチャレンジしつつ、最悪のスケジュール遅延を防ぐことができます。

③ 「仲介の相場」を自分でも調べておく

不動産会社から提示された買取額が、本当に「市場価格の7〜8割」なのか、それとも「5割程度に不当に買い叩かれているのか」を判断するためには、ベースとなる仲介の市場相場を知っておく必要があります。

周辺の似たような物件がいくらで売り出されているか、不動産ポータルサイトを見たり、国土交通省の「土地総合情報システム」で過去の実際の取引事例を調べたりしておきましょう。


7. まとめ

不動産を不動産会社に直接買ってもらう「買取」は、価格(安くなる)という大きな対価を支払う代わりに、時間、確実性、手離れの良さ、精神的平穏を買い取るシステムであると言えます。

  • 「時間や手間がかかっても、資産価値を最大化したい」仲介

  • 「損をしてでも、今すぐ確実に、安全に手放したい」買取

この2つの特性を天秤にかけ、ご自身のライフプランや経済状況、物件の状態に合わせて最適な方法を選択してください。判断に迷う場合は、まずは複数の会社に「仲介の場合の査定額」と「買取の場合の査定額」の両方を出してもらい、具体的な数字を見てからじっくり検討することをお勧めします。

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